秋篠宮さまが皇位継承順位第1位の皇嗣になったことを示す「立皇嗣の礼」が8日、皇居であった。中心儀式「立皇嗣宣明の儀」で秋篠宮さまは「皇嗣としての責務に深く思いを致し、務めを果たしてまいりたく存じます」と述べた。これで、昨年5月から始まった即位に関する全ての国の儀式が終了した。
一連の儀式が終わったことで、政府は今後、式典後に行うとしていた、安定的な皇位継承に向けた議論に取り組む。ただ、国内の意見が二分する事態は避けたいとして、議論後の取りうる方策や論点は来年以降、時機を見計らって公表したい考えだ。
先の天皇退位のために2017年に制定された特例法は付帯決議で、政府に対し「安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等」について速やかに検討し、国会に報告するよう求めている。
皇室典範により、天皇になれるのは父方に天皇の血を引く「男系」の男性だけで、現在の皇位継承権者は、継承順に秋篠宮さま(54)、秋篠宮さまの長男悠仁さま(14)、上皇さまの弟の常陸宮さま(84)の3人。ただ、秋篠宮さまは「兄が80歳のとき、私は70代半ば。それからはできないです」と周囲に述べたとされ、常陸宮さまは高齢で現実的ではない。次世代は悠仁さま1人で、皇族数の減少による危機感がある。
焦点は「女性宮家の創設」
議論の焦点は、国会の付帯決議にもある「女性宮家の創設」について、政府がどこまで踏み込むかだ。女性皇族は天皇・皇族以外の民間人と結婚すれば皇室を離れる決まりだが、女性宮家が創設されれば婚姻後も残り、皇族数の減少を抑えられる。現時点では天皇皇后両陛下の長女愛子さま(18)、秋篠宮家の眞子さま(29)、佳子さま(25)が対象に想定される。
ただ、その場合も女性宮家に生まれた子が皇位継承権を持つかなどが課題になる。母方に天皇を持つ「女系」となり、安倍政権の支持基盤となった保守系団体「日本会議」などが否定的な「女系天皇」への道が開かれることを意味するためだ。
国民の間でも賛否が割れそうなだけに官邸幹部は「そろりと動かさないといけない」。首相周辺も「静かな環境での議論が必要」と話す。関係者によると、今年前半までに内閣官房の担当部局が皇室制度に詳しい複数の有識者から意見を聴取した。
日本会議に近い国会議員らが主張する、戦後に皇室から離れた旧宮家から男系男子の養子をむかえる案も含め、取りうる方策や論点の整理を進める。
ただ、官邸幹部らは、国会報告…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル